[留め書]
冬の水虫?あかぎれ?

 

足の指の間ががさがさになって痒い。水虫かな?冬なのに。”
“かかとの皮膚が厚くなり、われてしまって痛く、歩くのに困る。”

このような症状のときいくつかの疾患が疑われます。水虫と決め付けてはいけませんが、水虫でないとも言えません。

水虫は白癬菌というカビが足で増殖して発症する疾患です。病名としては足白癬といいます。夏に多いのは皆さんご存知のとおりです。汗をかいているとカビも増えやすくなります。しかし、現代では、足白癬は冬でもよく見かけます。暖房の普及もその原因です。一日何時間も車の運転をされる方は、足元からの暖房で水虫になります。また、こたつに長く入っていたり、汗をかくお仕事の方は冬でも白癬菌がみつかります。先日は首の白癬の方が来院されましたが、猫からもらっておられました。暖房のおかげで、猫も白癬になりやすいのでしょうか。

指の間のがさがさやただれ・足の裏の水疱・かかとが硬くなるなどの症状が出ます。かかとの水虫のときには、いわゆる“あかぎれ“と見た目ではおなじようにみえることもあります。かゆみもあることもあればないこともあります。かゆくないから白癬でないと断定してはいけません。

診断は白癬菌を見つけることでおこないます。皮膚の角質を少し削り顕微鏡で見つけます。

治療は皮膚だけの場合は外用剤(抗真菌剤)で治療します。3ヵ月治療するのが標準です。治療を始めて、2週から4週で症状はよくなりますが、白癬菌は生き残っています。3ヵ月外用してください。

まぎらわしい病気に胼胝(べんち)性湿疹があります。かかとが硬く厚くなっていて、ヒビも入っています。検査してみましたが、白癬菌は見つかりません。冬の病気で、ひび割れたときには皸裂(くんれつ)性湿疹とも呼ばれます。いわゆるアカギレです。時にどうみても胼胝性湿疹なのに、白癬菌がみつかることがあります。白癬を合併しているからです。

皸裂性湿疹は原因不明ですが、治療法はあります。湿疹の薬と角質軟化剤を混合したものを外用すれば症状は軽くなります。白癬の合併例では、抗真菌剤を併用します。また場合によっては、内服薬を使うこともあります。かゆみ止めを使うこともあれば、漢方を使うこともあります。

冬でも、水虫もありますし、湿疹もあります。確実な診断と適切な治療が必要です。